「北京バイオリン」は、地方出身のバイオリン天才少年とその父が、北京に出て奮闘する物語。
映画から得た学びを2つと印象的なシーン2つを紹介します。
1.あきらめないことの大切さ
人生には、センスがあって、努力をしていても、どうしても到達できないことがある。
地方出身だから、コネがないから、お金がないから。。。
特に中国では、名門校で学ぶにはその学校の所在地の戸籍が必要だし、音楽のコンクールで受賞する基準は純粋に技術とか感性ではなく、親がどれだけのお金を寄付しているかにもよってしまう。
地方出身のバイオリンの天才少年と、決して裕福ではない父にとってはとても高いハードルに違いないけれど、彼らはあきらめない。
父の子を愛する気持ち、子の成功のためなら何でもするという気持ちはものすごい。
まさに、望子成龍wàngzǐchénglóng(意味:わが子の成功を願う)な父親である。
バイオリンの教師に個人的にレッスンを付けてもらうよう頼み込んだり、北京での生活費やレッスン費を稼ぐためにビルの窓清掃や料理の配達業務、建設業務などいろんな仕事で息子を支えている。
田舎者丸出しでダサいファッションだけれど、とても息子を愛している。
2.何のために?何をめざすか?
13歳の少年は、父親の期待に応えるためにバイオリンを弾いているのか?バイオリンが好きだからやっているのか?演奏を聴く人に喜んでもらいたくて、弾いているのか?それとも、もっとうまくなりたくてやっているのか?
若くして手に入れたスキルと身に着けた音楽的センス。それはまだ原石で、北京で出会ったバイオリンの先生たち、年上の友達とライバルによって、いろいろな磨きがかけられて、最後のエンディングの演奏へとつながっていく。
自分が13歳の時って、何をしていたんだろう?
中1で、新しい制服を着て、普通に学校生活を送っていた。
音楽の世界のことはあまりわからなくて、関心もなくて、楽器を弾く喜び、誰かに演奏を聞いてもらう喜びとは無縁だった。
この映画の天才少年のように、若いころから演奏でだれかを励ましたり、場を和ませたり、さらにはお金を稼いだりっていう世界とは程遠い13歳だった。(多分、大部分の人がそうだと思う)
でもこの13歳と同じで、何かが得意ですごく頑張ってたことがあったはず。その当時のフレッシュな気持ちを思い出しました。
夢とか目標を持つ、そのためにできることをすべてやる(何もせずあきらめてしまうっていうことはしない)、そして、いろんなところから目標達成のヒントをもらって、なりたい状態に近づいていくこと。
最終的に選んだものが、当初と違ってもいいけれど、悔いがない選択ができることが大事だなと思います。
印象的なシーン1
道でバイオリンの練習をしている少年を見つけた美人のお姉さんが、少年に声をかけ、部屋で一曲演奏してもらうシーン。
中国語を勉強している人にとっては、聞いたことがある「月亮代表我的心」のバイオリンの音色をBGMにして、お姉さんが電話をします。このお姉さんとは何度か出会い、友達になっていきます。
印象的なシーン2
二人目のバイオリンの先生が、音楽に感情を込めるためのアドバイスとして言った言葉。
ネタばれになるので具体的に何を言ったかはここには書かないですが、「例えばの話でXXだったとしたら、どうかね?」という部分の言い回しとして、「要是」や 「假設」ではなく「比如說」って使ったあたりで、本人がそれは本当のことなんだろうなと思ってしまったのかなと思いました。伝え方、言い回し、ニュアンス、どれも大事ですね。
このシーンは本当に要(かなめ)だなと思います。